くまもとソーシャルバンク

社会問題を解決する事業を応援するNPOバンク

学習会「福祉って何」報告

 2009年3月28日、玉名市ちゃぶ台で上記学習会を開催しました。くまもとソーシャルバンクが融資を始めるに当たり、融資先のさまざまな分野の事業について学習し、知識を深め、よりよい融資審査を行うために開いたものです。今回が第一弾となります。講師としてお招きした普久原涼太さんは、熊本や玉名で、福祉事業を始めさまざまな活動を行い、2004年に北海道に移住し、そこでも福祉事業にかかわり、現在旭川市で若者の就労支援などを行う「若者サポートステーション」で働いておられます。

 福祉とは、人間が幸せだなと思えるような暮らしを保証すること。金があって、自由があって、その人がやりたいことを実現する事が社会福祉ということです。「welfare」の訳語であり、物質的な目に見える幸せの条件を保証することですが、最近は「welfare」よりも「well-being」がいいのではないかと言われているそうです。「well-being」とは単に病気がないというだけでなく、身体的にも精神的にも社会的にも調和が取れていること、格差がない、戦争や争いごとが無い状態を指すそうです。

 福祉の法体系として憲法25条を最高法規としてその下に、生活保護法、母子及び寡婦福祉法、老人福祉法、児童福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法といういわゆる福祉6法があります。これらの法律に基づく事業はお金が出るようになっているそうですが法律の裏づけが無い医療・教育、司法・更生保護、生活保護を受けていない(受けられない)経済困窮者の支援、若者自立支援、犯罪被害者支援、消費者保護、地域福祉など(ニーズを拾って担い手を作る)はお金が出ないか、出ても事業を行うには不十分です。

 社会福祉事業は基本的に収支は成り立たない構造になっています。一般の事業はサービスを提供して顧客から対価を得ることができますが、社会福祉はサービスを提供してもサービスに見合う対価を払える人がいないかあるいは少ないからです。赤字を宿命としており、継続的な資金ニーズがありますが、融資するだけでは問題は解決しません。

 それでも公的な資金や補助を受けられるケースはまだしも、公的なお金が出ない事業はどうしたらいいでしょうか。普久原さんは4つの方法を提示しました。①お金を持っている人を対象とする事業を始める、②収益部門を設けて本来の事業に繰り入れる(ただし成功例は聞いたことがないそうです)、③単純に支出を抑える(人件費を抑えてボランティアで賄うなど)、④助成金、共同募金、年賀ハガキの寄付金などを得るという方法です。

 この中で、助成金には大きな問題があるそうです。それは、継続的に出ない、人件費には使えない、あとに残る備品には使えない、管理費には使えない、という理由からです。印刷製本費にしか使えないので立派な本やパンフが出来ますが、団体や事業の成長には役立たないし、人件費には使えないので人材が育たないし、そもそもニーズに合わせて得る事が出来ないそうです。

 寄付、会費収入など賛同者からの収入を得ていく方法もありますが、欧米ではともかくそういう習慣が無い日本では、NPO側が寄付を集める努力をしないと集まりません。ただ「頑張っているから」「大変だから寄付してください」では、駄目で、寄付する人を顧客として考え、寄付をする人が何を考え何を求めているかを考えないといけない、自分たちの成果を客観的に見せる事が大事だと指摘されました。他の市民活動を行っている私にとっては非常に耳の痛い、参考になる話でした。

 最後に普久原さんは、NPOバンクの福祉事業への関わり方を提示されました。まずは、公的な補助が得られるところに対しては、運転資金やつなぎ資金として融資すること。次に収益事業の強いNPOに融資して、その事業を育てて、しっかり返してもらうこと。問題は思いや使命感があるが、手持ちの資金がない人をどうサポートするかです。これについては、事業運営のビジョンを一緒に考えていくこと、中間支援的なサポートをして融資を受けられる段階になったら融資するようなサポートをすることが考えられると話されました。

 普久原さんのお話は体系だっており、しかも経験に根ざした説得力のある話でした。私たちが融資を行う際に福祉事業についての基本的な知識や融資審査のポイントとして参考にできるお話でした。普久原さん、遠いところありがとうございました(土森武友)。

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