2009/08/05 掲載情報
講演会『「お金」崩壊と私たちの暮らし・・・そして未来へ』報告
2009年7月18日、熊本市内の県民交流館パレアで総会の後に、上記講演会を開催しました。講師の青木秀和さんは財政問題研究者で、個人的な話で恐縮ですが、これまで川辺川ダム問題の関係で熊本県の財政分析の学習会の講師として何度か熊本に来てもらったことがあります。また昨年、『「お金」崩壊』という著書を出され、反響を巻き起こしていましたので、講演をお願いしました。
冒頭、簡単な貸借対照表と損益計算書の講義があり、お金の出し入れと物の状態を把握しました。本題に入っていくのですが、青木さんによるとお金は「請求書」であるということです。お金を持っていれば、人に何かしてもらえるということです。そしてお金があって、貸し借りが始まるのではなく、お金の貸し借りからお金が生まれるということです。
次に、各国の中央銀行の話になりました。イギリスのイングランド銀行は集めた120万ポンドの金と交換ができるイングランド銀行券を発券し、それをイギリス政府に国債を担保にして貸し付けます。イギリス政府は得られたイングランド銀行券を戦費として使い、その銀行券が市場に流通することになります。イングランド銀行は担保として得た国債を元に、再度イングランド銀行券を発券し、それが市場に流通することになり、「お金」として通用することになります。都合、120万ポンドの金が倍の銀行券に増えたことになります。
このように中央銀行は金を元に銀行券を発券し、国債を引き受け、さらにその国債を元に中央銀行券を発券して、それが市場に流通することになります。しかし、その構図が崩れたのが、金とドルの交換を停止した1971年のドルショックです。これによって、お金の価値の裏づけとして金がなくなり、後は国債だけとなったのです。要は借金がお金の価値の源泉ということになるわけです。
青木さんは利子の問題にも述べます。誰かが支出しない限り、他の誰かの所得は生じません。借金とは金利の分だけ増やして返す経済行為です。お金の総量が金利分だけ自動的に増えることはあり得ません。そうなると金利返済には、新しい借金か、誰かからの所得移転が必要になります。すなわち誰かの不労所得(金利)は誰かの勤労所得で賄われることになるのです。
質疑応答の時間には、さらに興味深い話が聞けました。日本の地域通貨は殆どうまくいっていない、地域通貨は思いだけでは駄目で仕組みを考えないといけない、経済はこれからマイナス成長しないといけない、ベーシックインカム(すべての人々に無条件に一定の所得が与えられる制度)が導入されれば、人は働かなくなるということではなく、仕事の中身や人からどれだけ感謝されるかという尺度で仕事が選択されるようになるかもしれない、またナチスもベーシックインカムを考えていた、自然界のものは減ったり使われたりして価値が減るのに、お金だけ価値が減らないということはおかしい、などなどです。
お金だけ価値が減らないという点については、お金に関する事業を進めていく私たちは、その意味をこれからも考えていく必要があると思いました。飛ぶ鳥を落とすような元気いっぱいの講演をして下さった青木さん、本当にありがとうございました(土森武友)。
『「お金」崩壊』紹介(青木秀和著、集英社新書、720円+税)
現在の財政状況において、国の債務はふくらみ、私たちの貯金が「空洞化」しているという現実、戦争をきっかけに中央銀行や時の政府との関係の中で借金が元となり「お金」が生み出されていったという「お金」の歴史、現実の生活圏で通用する「お金」と金融システムの中で地球が何個も買えるような額に膨らんでいる「マネー」が同じ尺度で交換されることの矛盾などが、この本の中で明らかになります。青木さんの言われるように「お金」を冗談にしないため、私たちも立ち止まって考える時だと思います。この本、ソーシャルバンク事務所がある「ちゃぶ台」でも購入できます。興味を持たれた方、是非ご一読下さい。
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