2009/08/06 掲載情報
里山の森林・竹林整備、林地残材の有効活用事業の紹介
今年度から、くまもとソーシャルバンクでは理事が運営している事業体と連携した事業を開始し、新たな社会活動を始め、その事業で得られる収益をくまもとソーシャルバンクの活動費用に当てていきたいと考えています。その連携事業の一つを紹介します。
松下 修(まつした おさむ) 松下生活研究所代表 NPO法人パーマカルチャーネットワーク九州代表理事。1955年生まれ。熊本大学大学院公共政策博士課程在学。モノやカネといった経済視点だけでなく、ヒトやクラシの視点から、ライフスタイルや社会を創造してゆく事業や活動を行っている。松下生活研究所は「一次産業を大切にした、小さな社会と気持ちのいい暮らしづくり」を提案し、調査事業、地域づくり、ものづくり、講演などをしている。
松下生活研究所とくまもとソーシャルバンク(以下KSB)は、本年度連携事業をすることになりました。KSBが行う融資からの金利手数料は3%の予定です。その手数料は運営費に使用せず、貸倒引当金として内部留保します。そのため、運営活動費を融資以外の自主活動で見出さなければなりません。その自主活動の一つとして、「里山の森林・竹林整備、林地残材の有効活用事業」を行うことにしました。
皆様も御存知のように里山の森林は1960年代頃をピークに増産・伐採されました。しかし、現在その杉林の多くは整備されていません。杉林に入りますと雑木や竹が雑然と混在し倒れかけ、暗い森林となっています。放置された杉林は使いものにならず、またやせ細った杉林は台風などによりなぎ倒され、がけ崩れなどを招きます。あるいは大雨の土石流などの原因の一つになります。このようになった背景には1960年代からの農山村から都市部へ向けた人口移動があります。所謂社会が近代化に向けて突っ走り、高度成長期を迎えたことが背景にあります。日本人の8割が半自給的農民であった時代からの変革です。
そして、多くの人々が都市部の商業や工業の労働者としてサラリーマン化していきました。そのため住宅需要が必然的に増加し、それに伴い木材供給はひっ迫化しました。不足する供給に対し、輸入によって賄われ始め、いつのまにか輸入木材に取って代わられました。その原因は、同じ品質でも輸入木材より国産木材がコストが高いなどと考えられていますが、社会が洋風化し、洋風化した住宅では、無節(ムフシ)や高級木材は使用されていません。和風住宅に使用されていた木材と洋風住宅に使用される木材は質が異なり国産木材は高級材で高いものです。
しかし、洋風化した大壁(柱が見えない)住宅に使用される木材は、高級材である必要がなく、安い輸入木材が使用されました。また、輸入木材は乾燥など品質技術に力をいれていました。その結果、国産木材は駆逐されてしまいました。木材の輸入自由化や3階建て木造住宅など構造改革なども大きな理由です。ともあれ、このような近代化や輸入自由化に押されて、日本中の農山村の林業を支える農家林家は労働意欲をなくしました。いまでは木材自給率が20%にも満たない状況です。
現在、どれほど大量生産型の機械化システムや集約型伐採方法を取ろうと、山元への林業所得はあがりません。現在一戸当たりの平均林業所得は年間30万円ほどです。再植林や山の手入れをするような状況にはありません。再生産のシステムが壊れてしまったのです。
そこで、大量型の伐採には私たちは手が届きませんが、自伐農家林家(農業を兼業している林業事業体で自分で伐採することが出来る人)が行ってきたように、薪や山菜、曲がった木材の家具や特殊な材としての活用など、多様な生産方法を支援することができます。小さな生産ですが、そのような方々やあるいは自伐は出来ないけれど、多様な生産を依頼する農家林家はおられるのではないかと思います。そのような方々と山に残された木材で商品価値のあるものを販売したり(林地残材の有効活用)、里山の住宅周辺で放置され、荒れたままになっている森林・竹林を、企業の資金援助や助成金などを活用し、オーナーへ整備方法を提案し、実際に整備を行おうと思っています。
企業は森林保全という社会貢献が出来、オーナーは整備が出来る。整備されたバイオマスは薪などに活用します。山を守ることは日本の命を守ることです。水や環境、多様な生態系、有用な生活資源をあらたな森林保全の在り方と企業の新たな資金の使い方を考えることで探っていきたいと思います(松下修)。
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