くまもとソーシャルバンク

社会問題を解決する事業を応援するNPOバンク

NPOバンクへの道9

★貸金業規制法改正案、国会で成立

 先月号で報告した、貸金業規制法の改正案ですが、11月29日、衆院財務金融委員会で全会一致で可決されました。そして、11月30日衆院本会議を通過し、12月13日、参院本会議で全会一致で可決、成立しました。

 改正法では、貸金業の登録に必要な純資産額の下限が、法人の場合、現在の500万円から5000万円に3年程度で引き上げられることになります。NPOバンクもこの改正貸金業規制法の対象となりますので、開設の条件として5000万円の資金調達が加わることになり、今後新たにNPOバンクを始めることは非常に困難となります。NPOバンクの参入や存続が可能になるよう、改正法施行後2年半以内に見直しするという付帯決議が盛り込まれたそうですが、正直言って、この付帯決議がどれだけの意味を持つものか私には分かりません。今後は、法改正も視野に入れた国会や金融庁への働きかけも必要となってきます。

★全国のNPOバンクをたずねて 東京コミュニティーパワーバンク

 今回は、先月東京に行った際に、NPOバンク「東京コミュニティーパワーバンク」(以下、東京CPB)の事務局の方に話を伺いましたので、その報告を行います。

 東京CPBは2003年、市民自らが出資したお金を、応援したいNPOに融資するという、地域内資金循環のための民間発「市民銀行」として2003年9月に設立され、2004年8月から融資を開始しました。もともとは生活クラブ生協という形で、国産品や輸入食品の問題や食料自給率の問題、女性や主婦の仕事がない問題、学校給食の添加物の問題に取り組んでいたそうですが、その問題を自分たちの事業で解決していくとことができるということが分かり、ワーカーズコレクティブ(出資金を出し合って意思決定をして、収益を分け合う事業体)の形で弁当、パン屋、福祉関係の事業が始まりました。しかし、新規の事業を始めるにも既存の銀行がお金を貸してくれないという事態に直面したそうです。

 地域にお金が流れないという問題もあり、その中で銀行というシステムを市民が持つことが大切であるということになり、そこから東京CPBが生まれました。他のNPOバンクとの大きな違いは、他は融資だけの事業しか行っていませんが、東京CPBはNPOバンクだけではなく、事業や教育などの相談を受けてサポートする組織、「コミュニティファンド・まち未来」があります。お金を貸す部門と総合的に支援する部門、両輪で市民事業をサポートしています。

 出資者は現在、500人、資金は9000万円ということですが、問題は融資件数が100件と少ないということです。それは、資金を必要とするピークを過ぎていたということと、福祉関係の分野では、いろんな制度が変わってきており、NPOバンクから金を借りたほうがいいのかどうか現在様子見の状態だからということです。生協組合員だけでなく一般団体にも借りて欲しいそうですが、運動性のある事業、逆に言うと収益的には厳しい事業などがあり、これは安定するまでは融資ではなく、助成金や寄付金を受けたりした方がいいと思われるケースもあるそうです。

 東京CPBの融資制度の中で面白いのは、ともだち融資団という仕組みです。どういう仕組みかというと東京CPBは出資金の10倍まで融資します。例えば100万円出資している人は1000万円借りることが出来ます。逆に言うと1000万円の融資が必要な場合は、100万円まず集める必要があります。しかし、100万円集めるのが難しい団体もあります。団体は必ず最低、3口(15万円)出資しないといけませんが、それでも100万円にはあと85万円足りません。その場合、例えば9名の人に呼びかけて8名が10万円、1名が5万円という形で出資金を出してくれれば、その団体が100万円出資したとみなし、1000万円の融資を受けられるようにする仕組みです。お金が集めやすくなりますし、出資を呼びかける際に自分のやろうとしていることに関心を持ってもらうことが出来るし、チェックを受けることにもなります。そうやって自分の周りの人たちとのお金だけではない協力関係を作ることになります。

 NPOバンク設立については以下のアドバイスをいただきました。NPOバンクの設立準備で大事なのは資金ニーズをつかむということです。何よりリサーチすることが大事です。またお金の貸し手と借り手をどう考えていくのか、どういう人たちになるのかということです。社会的地域的なニーズの中で、NPOバンクを自分たちだけでやっていくのかあるいは行政と組んでいくのかという分析と整理も重要です。資金繰りはあとから何とかなります。

 お金を集めるときも、下手に銀行や企業に話を持っていくよりは、最初に共感してくれる人を増やすことが大事です。出資者とお金のニーズは近いところにあります。地域内循環という面から言えば、お金を出す人と借りる人はもしかしたら同じ人かもしれません。お金を必要としている団体のスタッフの人がお金を出資してくれるかもしれません。助け合い、共済の形になるかもしれません。資金ニーズを増やしていくことが、お金を出す人を増やすことになるかもしれません。NPOバンクは金融機関でもありますが、地域に根ざす共済的な側面がありますから、ニーズを持っている人に加わってもらうことも重要です。まちおこしなどにも関わってきます。

 また、借りたい人をスタッフにするということも大事です。借りたい人とNPOバンクを作りたい人との接点が増えれば、そういうニーズも見えてきます。また、多様性を持つスタッフ集めも大事です。金融関係者、学者、福祉・環境関係者、NPOセンターの人、法律家・公認会計士、現場の人などです。多様性がないと広がりません。今後のNPOバンク設立に向けての参考にしたいと思います。(2006年12月11日、新宿区歌舞伎町、東京コミュニティーパワーバンク事務所にて。お話は同バンク事務局・奥田裕之さん)

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