くまもとソーシャルバンク

社会問題を解決する事業を応援するNPOバンク

NPOバンクへの道7

 またまた、ビッグニュースが飛び込んできました。7月号で紹介した、バングラデシュの貧困に苦しんでいる人たちにお金を貸し自立を支援していたグラミン銀行の創設者、ムハマド・ユヌス氏(66)とそのグラミン銀行にノーベル平和賞が授与されることになりました(10月13日発表)。

 グラミン銀行の利用者は600万人を超え、アジア諸国など各地に広がりを見せています。ノルウェーのノーベル賞委員会は授賞理由として、ユヌス氏を「無担保での小口融資という卓越したアイデアを、バングラデシュだけでなく多くの国に広め、貧困脱出のモデルを示した。最貧困の人々でも、自らの手で発展を手にできることを証明した」と称賛し、世界各地の貧困対策に大きな影響を与えたほか、民主主義と人権の発展に尽力したと強調しています。

 ユヌス氏は、記者会見で「(ノーベル平和賞の)真の受賞者は、融資を受けた貧しい女性たち。彼女たちが自立することが、さらに力強い世界へのメッセージになる」と語っているそうです。本当に嬉しいニュースです。
 
 今回は、前回に引き続き、10月1日に玉名市福祉センターで開催した講演会「地域を変えるNPOバンクの始め方」での田中優さんのお話の後半を紹介します。
「自然エネルギー導入の前に省エネをして、効率を高め、不要なエネルギーをカットすることで、経済的になり、やがて自然エネルギーだけで自給できるようになる。

 自然エネルギーを導入するよりも省エネしたほうが得。沖縄の友人のエアコンを省エネ型に取り替えれば、52000円の得になる。友人のエアコンを自分で買い換えて、友人からこれまでどおり電気代を自分に払ってもらい、自分から沖縄電力に振り込んであげれば自分が得する。

 省エネ後の電力消費は熱利用ばかりになる。この熱利用を効率的にすることが大事。アルミサッシで寒さを防ぐには、三層六重ガラスのものが効果が大きく、暖炉ひとつだけで温まった。暑さ対策では、家の外側のブラインドを利用する。よしずを引いて霧を吹いたり、ブラインド状の雨戸で、光を外で反射することもできる。緑のカーテンなら水を撒いたのと同じ効果が得られる。クールビズよりも窓をどうするか考えたほうがいい。

 省エネ住宅など、多少導入時の費用が高くつくかもしれないが、その後の光熱水費が安くなる。そういうイニシャルコストが高くてもランニングコストを安くできるものに融資する。そうすれば、誰でも得をする。雨水利用、省エネ設備、太陽熱温水器などの自然エネルギーをセットにして、光熱水費を込みにすれば安い住宅ローンが作れる。

 石油が安いというのはトリックだ。石油の価格には、ハリケーン「カトリーヌ」など自然災害の環境コストも、戦争コストも、補助金も、含まれていない。含めたら自然エネルギーより高い。電力会社の発電単価と自然エネルギーからの買上価格を比較すると、原発の製造コストよりも自然エネルギーの買い上げ価格のほうが安い。今や現実に自然エネルギーの方が安い。

 経済のグローバリゼーションはトリックだ。神戸・東京間よりもシンガポール・東京間で荷物を運んだ方が安くなる。これは国境線を越える石油が非課税であるためだ。だから外国の農産物の価格が安くなっている。こういうトリックが経済のグローバリゼーションを成り立たせている。

 電卓を使うときにコンセントは探さない(太陽電池がついているから)。電卓のように家庭 で、自然エネルギーを自給できればいい。それを実現するかも知れないのがキャパシタだ。急激な電気のニーズにも耐えられ、半永久に使える。しかも瞬時に充電する。木炭とアルミが入っているだけ。充電した電気の94%が取り出せる。実現すれば、家庭は電卓のようになって、電力会社の電線につなぐ必要がなくなる。

 石油社会では、人々は働かされているが、自然エネルギー社会になれば、勝手に電気が生まれて、エネルギーを得るために働く必要はなくなる。そして、社会は各地の小さな単位から作られるようになる。

 「ap bank fes’06」には、昨年は6万人、今年は8万人集まった。コンサート後にごみは出ない。自然エネルギーでまかなっている。アーティスト自身の発案・主催による世界初のイベント。NPOバンクをやっていると、ありとあらゆる問題に解決策があることに気づく。全国津々浦々に融資先がある。

 緑の点(問題解決を図ろうとする人々の動き)をポツポツ各地に作っていく。そのツール・インフラがNPOバンクだ。プレーヤーを下支えすることが大事。未来バンクを大きくするつもりはない。各地に出来て欲しい。

 貯金するとお金の使い道は東京で決められる。実態を知らずに決められてしまう。金融は中央集権に問題がある。地域にある金を地域が使うことが出来れば雇用が生まれ、生産が生まれる。経済の循環が生まれる。

 われわれのやりたいことが先にあって、それに合わせて法律を作ることが大事で、法律に合わせる必要はない。NPOバンクを作って何をするかが大事。先に何をやるか事業を考えたほうがベター。今なら県や市も乗ってくる。自分たちのことを先に考えること。マクロな政策によって、全体の色を変えていくことができる。それが困難なときには、ミクロの点が広がることによって全体の色を変えることもできる。ボランティアは自発的という意味で無償という意味はない。NPOバンクでは食えなくてもプレーヤーが食えるような仕組みを作っていったほうがいい。NPOバンクを作ってくれる人が出て来たら嬉しいなと思います」
講演は以上です。参加者からもいろんな質問が出されました。質疑応答のやり取りは以下の通りです。

Q:NPOバンクはどういうふうに作っていくのか
A:お金を集めて融資先を募ればいい。金を管理できること。簿記、法律に詳しい人(弁護士である必要はない)、審査の能力のある人(税理士が望ましいが、金を返せるどうか審査できる人)がいたほうがいい。全部そろわなくてもいい。他のところに聞く(委託する)こともできる。

 最低限、金を管理できること。金を集めるのと貸し出すという二重の組織である必要はない。集まった会費の管理と貸し出すほうは貸金業の登録をする。規約は他のバンクのを使ってかまわない。覚悟のある人が何人か集まることが大事。

Q:本業の傍らNPOバンクはやれるのか
A:NPOバンクは非営利。NPOは出資を受けられない。北海道NPOバンクやap bankは有限責任中間法人。有限会社法とまったく同じで300万円の元手で登録して、法務省に届出をする。比較的やりやすい。非営利なのでサラリーマンの人がNPOバンクの理事やってても給料は出ないので問題ない。

Q:水戦争のことを教えてください
A:日本の一人当たりの水の量は豊富ではない。世界の半分しかない。日本は上の水田で使っても3分の2は下の水田で使っている。計算式は一回使ったら捨てるという前提になってる。世界水フォーラムはダム推進勢力の集まり。計算式のトリックにも気付かない。日本では開催できたが、その次に海外で開催しようとしてNGOにつぶされた。日本では7割が農業用水に使われていて、個人、企業の水の使用量は1.5割くらい。途上国は輸出用作物に大半の水を使っている。日本のミネラル水の輸入量はたいしたことはないが、小麦や牛肉を輸入すると、そこで使われた水は8900万人分になる。牛肉を食わないこと、小麦を使わないことが効果がある。

 また、輸入綿製品を買わないこと。コカコーラ1本作るのにその8倍の水がいる。そのための水争いが起こる。それは産業の争い。アメリカのオーガニックコットンも問題がある。綿花を刈り取るときに、枯らさないといけないが、オーガニックなので枯らすための農薬は使えない。そこで砂漠に水をまいて栽培して、刈り取るときに水を止めて枯らしている。使っている水もオガララ帯水層など20億年かかってたまった化石水。今後、アメリカは15年くらいで水を全て使い切る。アメリカの左半分は砂漠になってしまう。

Q:悪の根源がアメリカだということは、分かっている人は分かっているが、一般の人はアメリカはすごい国だというイメージがある。そういうことが知られていないのはなぜか
A:アジアのジャーナリストに、アメリカの話をしたら「始めて聞いた。感動した」と言っていた。アメリカは、コーポレーション(企業)の塊。アメリカ系企業は赤字になったことはない。外国で儲けてアメリカには持ち帰らない。豊かな国や企業を順に並べると51番目までが企業になる。過半数は企業。世界は企業のもの。国は力が弱い。アメリカの政策が支離滅裂なのは、企業の言うことをそのまま政策にしているから。日本の放送局は地上波デジタル放送(地デジ)とアナログ放送の設備、両方いる。費用は携帯電話の料金から取る。携帯電話会社が電波を使ったからだ。地方のほうが地デジの金がかかる。地方の放送局で自民党の特別番組を放送しているのは、金がないからだ。独立したメディアがないと難しい。イギリスにはそういう独立したメディアが多い。アメリカにもポツポツある。

Q:独立したメディアとは具体的にはどのようなものがあるか
A:インターネットメディアがアメリカでは発達している。NGOの発信する情報の信頼度が高い。そういうNGOが運営するメディアが可能性がある。

 参加者のアンケートでは、講演について「すごい」「勉強になった」「素晴らしかったです」「目からウロコだった。少し難しく考えさせられた」「戦争の話から省エネの話まで全てを聞いて理解できるとともに、大いに共感した」「お金の出資先を自分の地域に変えることによって、どれだけのことができるのかということを知ることが出来た」「出来事の本質というものを知ることがきた」などという感想が寄せられました。

 またNPOバンクについては「大変興味がある」「是非作ってみたい」「玉名でも是非作って欲しい」「まだやり方がわからないです」「熊本にも出来るならいいと思い続けてきましたが、可能性があるんですね。手伝いたい」「金融の中央集権を防ぐ仕組みだと理解した。地元でも行動したい」などという声がありました。その後もメールで「手伝いたい」という申し出もいただいています。

 会場カンパも7500円いただきました。本当に皆さん、ありがとうございました。
11月26日(日)には、下記の通りNPOバンク設立に向けた準備会を行いたいと思います。こちらにも是非、お集まりください(土森武友)。
 
玉名NPOバンク(仮称)設立準備会
 日時:11月26日(日)13時30分
 場所:エコショップ「ちゃぶ台」
  内容:NPOバンクの規程の確認、設立までの必要な作業の洗い出し、分担、スケジュールの検討

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