2006/10/12 掲載情報
NPOバンクへの道6
10月1日に玉名市福祉センターで講演会「地域を変えるNPOバンクの始め方」を開催しました。参加者は13名で、遠くは佐賀県・有田市や熊本市、大津町、大牟田市など、玉名以外からの参加者も半数近くいて、NPOバンクに関心を持つ人が結構多いということが分かりました。
講師の田中優さんは、地元・東京での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和などさまざまなNGO活動に関わっていらっしゃいます。1994年から「未来バンク事業組合」理事長を務め、現在NPOバンクを設立しようとする動きを支援するために、各地を飛び回っています。
田中さんの話は、資源問題や戦争の話、貯金とその使われ方の話、未来バンクの話、家電製品の買い替えによる省エネ方法など多岐にわたり興味深く、あっという間に終わりました。2回に分けて田中さんの話を紹介します。
「石油の奪い合いが戦争を作っている。石油会社は石油の高騰で損失しているのではなく、大儲けしている。世界の軍事支出は増加傾向にあり、再び世界は戦時に入りつつある。しかし、世界の軍事費の大半はアメリカの軍事費であり、日本の実質国家予算より多い。アメリカの全労働者の5%以上が常に軍需企業に勤めている。軍需企業の重役は、石油企業の重役を兼任していることが多い。アメリカ軍事費の半分は7社が独占していて、ブッシュ・パパが顧問をしていたカーライルは、軍事産業に投資して大儲けした。ハリバートン(ブッシュ政権のチェイニー副大統領が元CEO)も受注を伸ばした。
もし軍事費を環境、医療、飢餓、債務解消、軍縮、地雷撤去、教育の問題解決に使えたら、それだけでも十分まかなうことが出来るし、それでも、まだ毎年約2099億ドルあまる。アメリカの軍事費を支えるのは実は、私たちの貯蓄だ。アメリカ国債の4割近くを購入しているのが日本。私たちの預貯金で政府の短期国債を買い、その金でアメリカの国債を買っている。これがアメリカの軍事費を支えている。
郵便貯金、簡易保険、年金(基礎部分)が財政投融資に流れて、世界銀行やIMFに流れて金貸し援助ばっかりやっている。財政投融資の資金は、ダム、河口堰、リゾート開発、道路、空港、スーパー林道、原発、再処理、ウラン開発などに使われている。日本国内の環境破壊の資金源。日本が戦争したときの資金の大半も郵便貯金だし、警察予備隊も郵便貯金で作られたし、戦後賠償も郵便貯金から出されていて、それが後のODAになった。
ダム建設阻止に成功しても資金はたくさんあるので、次のダム計画が出てくる。もぐら叩きゲームだ。
銀行に金を預ければ、イラクの人に爆弾を届けることになる。農協に預けられた貯金が農林中金に行き、世界銀行債が買われ、農業の自由化の資金となる。農協は「農業の自由化」反対ではなかったのか。平和が大事だとか、環境が大事だと口で唱えても実現しない。カネで表現した現実が実現する。どこに金を預けたかで決まる。金を預けると金融機関はすぐ貸し付ける。未来のための貯蓄のはずが、未来をこなごなにしていく。金をどこに預けるかが問題だ。
ではどうしたらいいのか。運動の方向性には3つある。自ら政治家になったり、影響を与えられるポジションから変える方法、となりの人に話したり、多くの人たちのムーブメントから変える方法、全く別な仕組みを考え、現実に新たなやり方をやってみせる方法だ。未来バンクを始めたときは7人で400万円集めた。すぐ潰れるといわれたし、自分たちもそう思っていた。今では1億7千万の出資額があり、累計で7億円以上を市民に貸し出した。貸し倒れゼロ、貸し倒れ引当金は800万円積み立てている。融資対象は環境・福祉・市民事業。金利は3%の固定。手数料が1%。残り2%は貸し倒れ引当金の積み立てのため。人件費はゼロだし、出資者に対する配当金も出ない。
NPOバンクは東京に4つ、北海道、新潟、岩手、神奈川、長野、名古屋に1つずつある。
NPOバンクの特徴は返済がきちんとしていること、貸し倒れがなかなか起こらないこと。それは、信頼は「年輪」のようになっているからだ。たとえば自分が金を返すときに、まず返すのは、一番信頼する家族・友人、次に、ある程度信頼していてほしい金融機関、その次は、できればカネを貸してほしい都市銀行。自治体など信頼されなくても困らない相手は返してもらえない。したがって、返済してもらうには信頼の内側に入り込むことが重要。未来バンクの場合は、目的(原発・戦争反対)を明瞭にすることにより信頼を得られるようにしている。
一方ap bankでは、融資対象をホームページで公開する他、返済状況も公開する契約で融資している。最近NPOバンクは、融資先を公開するようになっている。それで返済が滞ることもない。
組合員は未来バンク事業組合に出資する。未来バンク事業組合が未来舎という貸し金業に出資し、未来舎は組合員だけに融資する。閉じたバンクになっている。出資金を集めるところが投資サービス法による規制を受けざるを得なくなりそうになった。証券会社を通さなければならなくなるような規制だったが、われわれの働きかけでNPOバンクは適用除外となった。
貸金業法も規制を論議中だが、適用除外を求めている。規制を受けると、人や事務所を置かなければならなくなるし、登録料も必要になる。そうなると金利を高くせざるを得ない。貸金業の金利が高いということが問題なのに、金利が高くなるのは問題だし、NPOバンクは非営利でやってるので適用除外を働きかけている。
今度は、NPOバンクの融資先を考えてみます。地球温暖化の中で家庭のライフスタイルが問題にされるが、そもそも家庭の二酸化炭素排出量は現実には全体の8分の1程度。
排出量の大きいところを減らせば半分に減る。開示された上位167事業所で、日本全体の排出量の半分を占める。世界が京都議定書を守って、排出量を減らせば、軍事部門による二酸化炭素はさらに突出して、ドイツより多くて日本より少ないぐらいになる。戦争に反対しない環境保護なら、戦争による二酸化炭素で滅びることだろう。政治問題だから関知しないでは解決できない。
家庭の中の電気消費量のうち、待機電力が10%ある。そのうち、主にオーディオ・ビジュアル(AV)と通信機器(IT)で3分の2を占める。そこにスイッチつきコンセントをつけるだけで、待機電力は簡単に防止できる。
家庭内の電力消費の四天王、エアコン・冷蔵庫・照明・テレビで電気消費量の3分の2を占める。冷蔵庫の電力消費量は1995年が100なら2002年は20に減っている。それ以外もほぼ半分に減った。まずは買い替え時に省エネ製品を買うことが大事。努力忍耐は不要。そこで省エネ製品の買い替えに融資しようということになった。ものぐさでも、省エネと自然エネルギーで暮らせる日が来る。省エネタイプに変えれば、省エネ後の電気需要は半分。
これを自然エネルギーに変えればいい。まずは電力使用量を調べてみる。省エネ冷蔵庫に買い替えると、年間24000円のお得。買い替え費用を融資することで、本人は毎年4,340円以上も得しながら、新しい冷蔵庫を手に入れることができる。全く誰も損せずに、二酸化炭素排出量を減らせた。他にも、白熱球から蛍光灯・球、LEDへ変えると、電気消費量は減り、寿命は伸びる=続きは次号で=(土森武友)。
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